新しい家も見つかり、後は引越しを待つばかりとなった私達は、その間、必要な家具類を
探す事になりました。(前回のEpisode3のPart2のように、賃貸住宅には5つの電気器具類が
設置されているので、大型家電は購入する必要がありません。)
今や日本では、家具専門店やデパートは元より、街のホームセンターの量販店、
また、デザインや色、種類がとても豊富で多種多様な商品を取り扱っているディノスの
カタログ販売等で、高級なものからリズナブルな物まで、大概の物は探し出す事が出来ます。
はたまた、専門家たちのアドバイスを聞けるインターナショナル・デザインセンターの(IDC)
大塚家具や 輸入家具専門のアビタサローネ等で、こだわりの一品を見つけ出す事も出来る
のです。しかし、当時のバンクーバーは違いました。
リッチモンドやイエールタウン等には素敵な家具屋が何件もあったのですが、
一店舗のスケールはそれ程大きなものでは無く、その為、種類やバリエーションも少なく、
ベッドはここの店が良けど、食卓はあちら、、、でも、椅子は違うお店の方が良い、、、
っと言う具合に、一箇所で気に入るもの全てを選ぶのは至難の業でした。
何故ならば、前記の通り、今回は私なりにこだわりを持って、家具を選びたかったのです。
そんな訳で、最終的には、7箇所の家具店で買い物をする羽目になったのです。
それらは、引越し後に我が家へ届けてもらう段取りにしてもらいました。

これが問題だらけのテーブルと食器棚     

さて、引越しの日の前日、新居(古い家でも私達にとっては新居?)の鍵を渡され、
掃除をしようと家の中に入って見て、びっくり!
賃貸契約の際、其処にあったはずのブラインドとカーテンが消えているではありませんか!
外に面している大きな窓にブラインドとカーテンが無いのですから、通りから中が丸見え
状態なのです。その上、防犯システムのアラームのシールを見て、不動産業者にアラーム
システムが設置されている旨を確認した際、彼は頷いていたのに、
それがフェイク(偽造)シールだったとは、、、、、。
また、幾つかの窓やドアの鍵が壊れていて、全くの役立たずだったり、、、。
それでなくても、こんな大きな家に一人で(主人は会社?)生活しなければならない私は、
防犯対策が不備だらけなこの家に、恐ろしさの余り、少々パニック状態!
“これは契約違反だ!”っとわめいても、 無責任な業者との口約束では、後の祭り!
実は、彼も、友達の物件だったので、詳しい内容は知らなかった様です。
“ハンディーマン(大工の様な何でも屋)を寄越すから、何でも彼らに修理させるように!”
っと私に告げ、自分は責任を逃れてしまいました。
彼を攻めてもブラインドが戻る訳でもなく、 背に腹は変えられないので、早速、ブラインド業者
とアラーム業者を紹介してもらい、 それらを自腹で設置する事になりました。
翌日の引越しは無事に終了したのですが、ブラインドが出来るまでの間、プライバシーを守る
目的で、シーツをカーテン替わりにせざるを得ませんでした。どうも、日本人は私も含め、
閉鎖的なのか、他人の目を気にしてカーテンやブラインドを閉める習慣がある様ですが、
カナダの人々は、それに反して開放的と言うのか、外から家の中が丸見えでも、一向に気に
しない人が多かった様です。これはクリスマスシーズン、夫々の家の中のデコレーションを
楽しめたメリットもありましたが、、、、。

引越し荷物が溢れかえっている家で、ダンボールの中身の片付け作業で忙しくしている最中、
我が家には、次々と来客が訪れて着ました。
まずは、二人のハンディマンが壊れた箇所の修理やペンキ塗りに来たかと思えば、アラーム
会社の工事人が装置を取り付けに何日も居座り、その間、ブラインド会社の営業マンが取り
付け箇所の採寸と見積もりに訪れる、、、っと言った具合に、生きた英会話の勉強にはおあ
つらえ向きのレッスンが出来るのですから、言う事無しです。しかも無料で、、。
しかし、うら若き女姓(?)が一人ぼっちでいる家に、どこの馬の骨とも分からない、
いかつい体のカナダ人の男達がやって来るのですから、私としては落ち着いて片付け物など
出来る状態ではありません。
一日中、家の中の何処かにいる彼らに、神経質になっている私は、その上、彼らに昼食まで
出して上げていたのですから、毎日、緊張と疲労でぐったり!


ゲストルーム(左) と メインベッドルーム(右)

そんな中、続々と、先日購入したばかりの家具類が運び込まれて来たのです。
まずは、Episode2で書いたようにベッドが運び込まれ、すべり出しは順調の様に見えたのですが、
ダイニングテーブルが搬入された時は、テーブルの台のペイントの色が左右違っており、
明らかに体裁が宜しくないのです。
運搬する人にクレームを出してもその場では引き取ってもらえず、買った先の担当の営業マン
に直接話しをすると、交換の品物が入荷した際に連絡をくれるとの事!
しかし、“そのテーブルはカリフォルニアから取り寄せたものだから、何時になるか分らない!”
との旨を知らされ、唖然としてしまいました。
中には半年以上待たされ、忘れた頃に連絡をもらった人もいるとか、最初は何の事だか分らな
かったらしいです。
 また、食器棚が運び込まれた際は、扉のサイズが合わなくて、取り付ける事すら不可能な状態。
これまた、別の家具店の営業マンにクレームを出すと、後日、検査官が状況を見に来て、其処
でやっと修理のお許しが出る。
このケースは結局、代わりの部品が入手出来ず、一ヶ月後に別なタイプの食器棚を運んで
来たのです。 始めから、そうしてくれれば良かったのに、、、、!
コーヒーテーブルは、テーブルの台の石が欠けていて、また、またクレーム!
フロアースタンドも一部パーツが不足していて、また、また、またクレーム、、、等等。
7箇所で買った家具の内、半分以上も欠陥商品に見舞われ、これらが全て解決するまで、
どれだけ神経をすり減らし、どれだけのストレスを溜めた事か、、、、。
この件でホトホト疲れ果ててしまいました。
日本でもまれに欠陥商品にお目にかかる事がありますが、 こんな高確率は始めてです。
" 一体、カナダはどうなっているの?”っと、不安に思ってしまった程です。
海外で、日本の常識を引きずって生活するのは、如何なものなのかも知れませんが、、、。

ともあれ、新居に移った始めの一ヶ月は、一人ぼっちを淋しがる暇など全く無いほど、
入れ替わり立ち替わり人が我が家を訪れ、色んな意味で充実した日々を送る事が出来た様です。
そして、
この様に仮住まいでは無い、真のカナダライフを楽しむ為の準備の第一段階が整ったのでした。
Move Part1
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Move(引越し) Part2
Episode5